この本を読んでちょっと信じられない、信じたくない気持ちになりました。
新井紀子著『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』 を読みました。
この本は人工知能『東ロボくん』で東大合格を目指した新井紀子さんが人工知能AIの現状について分かりやすく説明してくれた本です。
AIに出来ないことや苦手なこと、今あるAIは真の人工知能AIではなく、音声だとか情報検索とか、文字認識とかのAI技術であることなどが端的に述べられています。
また、今のAI技術の延長では人工知能AIが全人類の脳を越えるというシンギュラリティなんて来ないことが非常に分かりやすく未来をそれとなく想像出来るように書かれています。
しかしこの本が言いたいのはAI論議ではありません。
今の子どもたちに足りないもの、読解力のない教科書が読めない子どもたちが増えていることを指摘されています。
私が信じられなかったのは、教科書が読めない話です。
例えば例題です。
問,次の文を読みなさい。
幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた。
上の分が表す内容と以下の分が表す内容は同じか。『同じである』『異なる』で表しなさい。
1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた。
答えは『同じである』でしょうか?または『異なる』でしょうか?
そうです、沿岸警備を命じられたのは大名ですから答えは『異なる』ですよね。
この問題の正答率を見て驚愕しました、まさに私からしたら「なぜなの?」です。
中学生:57%
高校生:71%
二択問題ですから、コイン投げして解答しても50%は正解するのに間違えている子が多いですよね。
この本のポイントは子どもたちの読解力を鍛えていかないと、将来AIが今の仕事の半分を代替えする2030年代には、多くの失業者が出るのでないかということです。
なぜ読解力が低いのでしょうか?
新井さんの調査ではスマホのせいでも、読書量のせいでもないようです。
私が思いには、同じ文章を何回も読むことが少ないためでないかと思っています。
今の子どもたちは情報過多の時代に育っています。
このため色んな情報を取り込まないといけなかったり、色んな情報を取り込むために同じ文章を何回も読み返すことがないのではないでしょうか?
同じ文章を読み返すと色んなことが見えてきます。
例えば小説で言えば、主人公目線で読んでいたのがヒロイン目線で読めたり、悪役やモブ目線で読めたりもします。
私の場合は小説やマンガを繰り返し読んだ、こんな経験が読解力を上げたと認識しています。
今の子どもたちに不足している大切なことは、同じ文章や本を繰り返して読み返すことではないかと思います。
どうでしょうか?