日経新聞の夕刊に連載されている山田詠美さんの『つみびと』から目が離せません。
最近まで日経新聞朝刊に連載されていた林真理子さんの『愉楽にて』を毎回楽しみにして読んできました。
でも連載が終了して新聞を読む楽しみがひとつ減ったなと感じていたんです。
「そういや夕刊にも小説連載がされていたなぁ」と『つみびと』を見つけてちょっとだけ読み始めたのです。
すると、なんとも言えない気持ちにさせられてそこから文章に引き寄せられました。
山田詠美さんの作品を読むのは『ぼくは勉強ができない』以来です。
『僕は勉強ができない』を調べると、なんと1993年作。
ということは25年ぶりに山田詠美さんの作品を読んでいることになります。
4半世紀ぶりですね、ほんと感慨深いものがあります。
『つみびと』はどんな作品かというと育児放棄をして子どもを見殺しにした母親を中心にしたお話です。
母親とその母親とか、周囲や育った環境などが複雑に交差して物語が進んでいきます。
しっかり読んでいないと母親とその母親を混同してしまうことがあるくらいに複雑です。
新聞夕刊で毎日読めるには嬉しいのですが、やはり先が気になるというか、どうしても間が空くために話のつながりが分からなくなってしまいます。
何回か前に戻ってから読み直したことがあります。
日経新聞だけではないかもしれないですが、夕刊って読みところが少ないと思いませんか?
私は夕刊の場合、目を通すだけで本文を読まずに終わることが多々ありました。
そんな夕刊だからか、これだけ気になっている新聞小説の『つみびと』が載っているのに読まずにマガジンラックに新聞を放り込むことがあるんです。(笑)
ほんと笑うしかありません。
あとで小説を思い出してマガジンラックから新聞抜いてくる…。
そんなこともありました、ほんとごみの日だったら危うく捨ててしまうところです。
『つみびと』は悪い母親の救えない心を描いている作品です。
どんなにすくい上げても心の根が闇の中にいる…。
楽しかった生活をみずから自分の闇から逃げられずにまた泥沼に逆戻りする…。
どんなに償っても、というか償うことすら許されるものではない母親を、山田詠美さんは丁寧に心を描いているそんな作品です。
この作品がとても気になります。
たぶん自分の中でずっと気になる作品でしょう。
新聞小説の連載が終わり一冊の本になった時には全体を一気に読み返して、このもやもやした気持ちを掻き立てたり平静にコントロールしたい、そう思わせてくれる作品です。