体が溶けてしまうような暑い夏休み。
私は高校生のときに某高島屋でお中元配達のアルバイトをしていました。
今に思えば当時はまだ日本が優しかった、そんな時代だったのかもしれません。
そうです、当時の配達は今と違って隣近所のつながりがとてもゆるい雰囲気だったのです。
今よりは少ないですが、当時も留守宅はそれなりにありました。
当時は今みたいに共働きの家は少なくて、家に誰かが在宅していることは珍しいことではありませんでした。
今は在宅していても宅配便が届いても居留守使う人がいてるようですが、当時はそんなことはありません。
特にいまと違うのは不在であった場合、隣近所が荷物を預かってくれたこと。
「すみません。お隣の◯◯さんに荷物を届けにきたのですが、不在なのでお預かりして頂けないでしょうか?」
今では信じられないことだが、当時私が配達していた京都ではご近所宛の荷物を預かることは普通にあったのです。
とてもご近所のつながりが濃い時代だったのでしょうね。
中には預かったお家のかたが、「預かっていることを◯◯さんの家にメモ入れといてね」と言われることもありました。
でも大抵は預かってくれるお宅に預けてそのままです。
今とは違いすぎる荷物配達。
どこかで配達ルールが変わったのでしょうか?
いつから不在だったら持ち帰るようになったのでしょうか?
宅配の増加でヤマト運輸さんとか佐川急便さんとか大手業者が絡むようになってからだとは思います。
あとお中元配達で実際に経験したのは、不在でも玄関先に荷物を置いて帰ったこと。
もちろん初めて訪問するお宅でなくて、何度も配達したことのあるお宅です。
向こうは何回も再訪してもらうのが忍びないらしく、「不在時には荷物を隠れて置けるここに置いて良いですよ。」と云ってくれる家もあったんです。
こちらも渡りに船です。
不在の時には遠慮なく玄関先に置いて帰りました。
後からクレームになったという話はいっさい聞いていないので、当時は空気が緩かったのだとは思います。
また玄関が空いているのに家にだれもいない…そんな不在のお宅にも遭遇したことがあります。
玄関に鍵も掛けないで引き戸の扉を明けたままお出かけしたのでしょうか?
それとも何かの都合でちょっとご近所に走っていったのでしょうか?
このようなお宅の場合でも、玄関の上り口に荷物を置いて帰ります。
でも考えたら荷物には伝票が付いていますが、置いて帰ると伝票に印鑑 or サインをもらえないのですね。
私は配達バイトなので、印鑑を頂けていない伝票は配達店の大将に渡すだけです。
あとで大将が自分でサインをしていたのでしょうか?
もう30年以上前のことなので今となっては分かりません。
当時はネットも無く配達の車にはエアコンすら付いていませんでした。
振り返ると日本は便利さと引き換えに、ゆるいご近所付き合いと大切なつながりを失くしてしまったんだ、そんな気がします。