上半期のベストセラーである『日本人の勝算』を読んだ。
どこで見たかを忘れちゃったのですが2019年上期のベストビジネス書に選ばれていた『日本人の勝算』を読みました。
著者のデービッド・アトキンソンさんはイギリス生まれの56歳、もとの仕事がゴールドマン・サックスの金融調査室長です。
在日期間は30年を超える、日本を愛したアナリストさんです。
その彼が書いたこの本は裏打ちされたデータから展開される自論に説得力が高くて、「なるほど、そうなんだ。」と納得することばかりでした。
本の内容がどんな感じかというと、今後日本が向かっていく人口減少と高齢化に対する提言が書かれています。
今、日本では人口減少と高齢化によってパラダイムシフトが襲いかかっています。
パラダイムシフトの今、いままで通じていたやり方や考えかたでは通じなくなって国や経済が衰退するかもしれません。
今改革に取り組まなければ三流先進国に成り下がってしまう。
それを避けるために日本がパラダイムシフトに取り組むべき内容をアトキンソンさん視点の自論が展開された本です。
この本のすごいところはデータをもとに分析した数字で話をされていることです。
数字は嘘をつきません、だから納得が出来るのだと思います。
この本には、人口減少社会を直視することから始まり、輸出を増やす話、企業規模を拡大、最低賃金の引き上げ、そして生産性の引き上げへと書かれていて、最後に「大人の学び」トレーニングの重要性も書かれています。
パラダイムシフトでは改善とか修正ではなくて、改革といえる変化が必要だと力強く示されている本です。
特にわたしが興味を持った話は「最低賃金の引き上げ」について。
最低賃金を引き上げることによる生産性向上はイギリスやその他の国から効果あることが報告されています。
でも韓国では失敗しています。
韓国では2018年1月からの最低賃金を2017年から16.4%引き上げ、さらに2019年1月からは10.9%の引き上げを実行しています。
韓国も日本と同じで少子化や高齢化がやってくることが見えている国です。
なので先駆的改革をすばやく実践したとは思いますが、韓国の改革は大きな副作用が出ました。失業者が過去最大を記録したのです。
改革の方向性は正しかったが最低賃金を一気に16.4%引き上げたのがまずかった。ということになっていますが、日本で実行した場合は大丈夫でしょうか?
日本は韓国とは社会情勢が違うので大丈夫なような気はします。
でも最低賃金の引き上げは韓国みたいに極端に引き上げるのではなくて、副作用の少ないように数%ずつ引き上げが良いのでしょうね。
わたしはこれなら納得出来ます。
さて実際に日本では人口減少と高齢化にどう取り組んでいくのでしょうか。
自国の将来に期待しています。